「最高の授業」を世界の果てまで届けよう
著者:税所篤快
教師不足に悩む途上国にネットやDVDを駆使して「最高の授業」を届け続ける24歳の早稲田学生の物語を書いた本。
本書の著者でもあり、主人公でもある税所篤快氏が偏差値28、周りからバカ扱いされていた頃の話から、失恋と1冊の本「グラミン銀行を知っていますか」をきっかけに、バングラディシュに渡ってからワタミやDELL、ユニクロから出資され、DVDを用いた教育事業の活動が広がっていく展開を細かくみることができる。
文章は読みやすいだけでなく、彼のアイデアと行動力の勢いが感情となって伝わってくるので、ぐいぐい読んでしまう。普段の人生に魅力をなくしてしまったときでも、情熱を呼び起こしてくれる。また、内容では、成功していった話だけでなく、失敗の話もかなり多く、大失敗をして帰国をした後に、何も行動をしなくなってしまった彼の姿まで書いてある。もちろん、そこからの立ち直りまでの経験も詳しく書かれているので、行動しているたくさんの人を支えてくれる。当時24歳ということもあり、自分も負けない!と活気づけてくれるだけでなく、ITのインフラが進み、EmailやSNSを通して展開していく今だからこその行動の仕方も学ぶことができる。
また、さらに内容の最後にある鼎談にて、著者の税所篤快氏の師匠である一橋大学イノベーション研究センター教授の米倉誠一郎氏とランド研究所で唯一の日本人の田村耕太郎氏をふまえ、話している内容に「20代で何かしなければと焦る必要はない」などのアドバイスにも20代で行動してこなかった人にも希望をもたせるところも良い。
鼎談では、グラミン銀行はビジネスとして成り立っている(お金を稼げている)が、e-Education(税所篤快氏が代表を務める国際教育支援NPO)はビジネスとして成り立っていないという厳しい面も指摘しているが、彼自身が偉業に挑戦していることは間違いない。読む人を熱くさせ、今後、彼への応援をはじめとする、行動していく人が増えていくであろう勢いのある一冊。
「「最高の授業」を世界の果てまで届けよう」のおすすめポイント
20代で同世代から刺激をもらいたい人にはなかなかオススメの著作。逆に30代以上だと自分の奮闘している世界がちっぽけなものに見えてしまう恐れもあるが、そこをふまえて読む方はワクワクのスイッチを持っているので、興味を持てば、読むのはお勧め。