仕事は楽しいかね?

著者:デイル・ドーテン

この本は物語形式で書かれたビジネス本である。物語の始まりを要約すると、アメリカの35歳のサラリーマン(“私”)が、季節外れの吹雪のために閉鎖になった空港で、偶然にある老人マックスに出会う。いまの仕事に行きづまり、さえない気分で日々を送る“私”の悩みを聞く老人。実は彼は高名な実業家であった。老人は“私”に特別なレクチャーを始める…。

こうして、主人公“私”の悩みに老人がアドバイスをしていく形で書かれている。ストーリー仕立てでそれほど長くないのでとても読みやすい。内容は一般のビジネス本とは一味違った理論が述べられており、読む人に新たな視点をもたらす本だろう。

タイトルにある通り、「仕事は楽しいかね?」と聞かれて、YESと即答できない人におススメしたい一冊だ。仕事で成功して楽しく暮らしたい、と、誰もが願うところだろう。では、どうすれば成功できるのか?この“成功”の秘訣について、多くの人が次のように考えるだろう。

それは、“目標を設定して、そこに向かって全力で突き進む”ということだと。なぜなら、大半のビジネス本にそう書かれているからだ。しかし、この物語の中の老人マックスはそれを否定する。「きみは、最初に陸にあがった魚は長期にわたる目標を持っていたと思うかね?」「人生は進化だ。そして進化の素晴らしいところは、最終的にどこに行き着くか、まったくわからないところなんだ」

この本では、コカ・コーラ、リーバイスジーンズ、アップルコンピューターなどの偉大な商品がどうやって生み出されたかが書かれている。その経緯を読むと、どれもはじめは偶然の産物に過ぎなかったことに驚かされる。それらの偉大な発明者たちは、目標達成のために突き進んだわけではなく、冒険心と、偶然をチャンスに変えるマインドがあったのだろうということが分かる。いまは、書店に行けば、成功哲学について書かれたビジネス書が山ほど置かれていて、誰だって簡単に成功のためのルールが手に入るのに、多くの人が成功できずにいる。

この物語の老人マックスはこう言う。みんなが成功した人の真似をしようとするが、「やっぱりこの問題がある。小説を研究しても小説家になれないように、成功を研究しても、成功は手に入らないという問題が。(中略)成功するというのはね、右にならえをしないっていうことなんだ。」、「ピカソの絵をコピーしてもピカソになれない。」成功した人の真似をする代わりに、日々、昨日と違う自分になろうと革新し続けること、これが成功の可能性を高める秘訣なのだ。

目標を持たなくていいという、マックスが唯一掲げた目標がある。“明日は今日とは違う自分になる”だ。まずは大きな変化でなくてもいい、とにかく新しいことを日常に加えてみる。それだけなら気軽にできそうに思える。昨日までと違う方法を試してみる。そのように過ごしていけば、同じように見えていた日常の風景も違ってくるかもしれない。そのなかで、偶然=チャンスを見つけられる目が持てるようになるといい。日々の仕事にマンネリを感じる人には、ワクワクする気持ちを呼び起こす本だろう。

ライター名:yuki

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「仕事は楽しいかね?」のおすすめポイント

一つの物語になっているので、エピソードとして頭に残りやすいことが利点だろう。内容は、ビジネスに関する自己啓発本をすでに多読した人にも新たな発見があるだろう。いま仕事が楽しくない人、就職活動をしている人、起業したい人におススメする。

デイル・ドーテンについて

デイル・ドーテン。1950年生まれ。アリゾナ州立大学大学院(経済学)卒業後、スタンフォード大学大学院で学ぶ。

1980年、マーケティング・リサーチ専門会社、リサーチ・リソーセス(Reserch Resources)を起業し、マクドナルド、3M、P&G、コダックなど大手優良企業を顧客に持つ全米でもトップ・レベルの会社にまで成長させる。

1991年、新聞に執筆したコラムが好評を博し、執筆活動を開始。現在米国を代表する人気コラムニスト。氏が執筆するコラムは、100社以上の新聞社に配信され、毎週1000万人以上に愛読されている。

執筆活動のかたわら、企業講演、従業員訓練やキャリア・セミナーを主催し、意思決定論、人材育成、キャリア・アップによる能力開発や成功をテーマに独自の理論を展開している。